相続税が大きく変わります

1 平成23年度税制改正大綱について

平成22年12月16日に「平成23年度税制改正大綱」が発表されました。

23年以降からの生活に直結する重要な税制が様々盛り込まれております。所得税については給与所得控除の上限の設定、法人税については実効税率の5%減額等々が決定されました。その他にも配偶者控除の見直しや、消費税等については今後の議論を待つことになります。

 

2 相続税の改正

  この改正の中で相続税に関する重要な改正があります。

  相続税の課税割合はこの数年、死亡者数に対して約4.2%となっています。この課税割合が高いか低いかは議論のあるところですが、バブル経済にまっしぐらに突き進んでいた昭和62年には7.9%でした。これは全国平均ですから、東京等都市部やその周辺は10%を超えていたと考えられます。相続税の対象となる被相続人が100人に4人と減少したことで課税割合を高めようということになりました。

 

 

3 基礎控除額の見直し

⑴ 平成21年頃から相続税の課税方式を取得者課税方式若しくは遺産課税方式と検討されていましたが、結局は基礎控除の手直しだけが行われることになりました。

現行の相続税の基礎控除額は次の通りです。

  5000万円+1000万円×法定相続人の数

  相続人が妻と子供二人の場合、法定相続人が3人ですので総遺産価格が8000万円(5000万円+1000万円×3=8000万円)までは相続税の対象にはなりません。

    

これが今回の改正で4割引き下げられ、次の計算となります。

  

3000万円+600万円×法定相続人の数

 

   同様に相続人が3人の場合基礎控除額が4800万円(3000万円+600万円×3=4800万円)となりますので、相続税の対象となるボーダーラインが大幅に下がります。

 ⑵ 相続税の基礎控除はいまだかつて下げられたことがありません。今回の改正で初めて減額になります。

また、平成22年4月1日以降から小規模宅地等の課税の計算特例の見直しが行われ、その適用範囲が狭められました。その効果と今回の基礎控除額の見直しの効果とで、相続税の課税対象となる方々が大幅に増加すると考えられます。

 

4 死亡保険金の非課税限度額の見直し

死亡保険金を受け取った場合、保険金額に対して法定相続人一人当たり500万円の控除がありました。この控除は、生命保険金が相続人の生活保障という意味合いを持つため創設されたものです。昭和63年から500万円となっています。

今回の改正で、相続税の基礎控除以外の控除額に対する疑問や、生命保険金控除を適用するためだけの契約と思しきものが見受けられること等から見直しとなったものです。

  生命保険金の控除を全廃した場合、一定の相続人にとっては税負担が厳しくなることから、適用できる相続人の範囲を限定することになりました。

 

500万円控除できる相続人:未成年者、障害者、相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者

 

5 税率構造の見直し

  現行の相続税の最高税率は3億円を超えると50%です。今回の改正で3億円を超えると45%となり、6億円を超えると55%の適用となります。少々厳しくなったようです。

現行の税率

改正税率(案)

 1000万円以下の金額 …10%

      同左

 3000万円  〃   …15%

       〃

 5000万円  〃   …20%

       〃

   1億円   〃   …30% 

       〃

    3億円   〃    …40%

  2億円以下の金額 … 40

     ―

  3億円    〃 … 45

   3億円超の金額   …50%

  6億円    〃 … 50

     ―

  6億円超の金額  … 55

 

6 未成年者控除・障害者控除の見直し

未成年者控除・障害者控除についても次の通り金額の見直しがありました。

 

 

現  行

改 正 案

未成年者控除

20歳までの1年につき6万円

20歳までの1年につき10万円

障害者控除

85歳までの1年につき6万円

85歳までの1年につき10万円

 

7 適用予定日は平成23年4月1日以後の相続です。

上記は税制改正大綱での案です。これから国会で紆余曲折が予想されます。